私の成人式の思い出

祖母から受け継いだ手作り振袖

2020年12月18日 10時23分


私が成人式で着た振袖は、私の祖母が母の成人式のために生地から作ったという20年以上の年代物でした。
裁縫が得意な祖母ですが、着物までおろせてしまうというのは当時の私でもびっくりでした。
世代が違うにも関わらず、綺麗なデザインと質の良い振袖は、祖母と母の物持ちの良さを改めて感じさせてくれる代物でした。

私には3上の姉がおり、初めてその振袖を見たのは姉の成人式の時でした。姉がその着物を見たのも、おそらく同じ時期だったと思います。
ずっとタンスの奥に仕舞い込まれていた美しい振袖は、桐の箱を開けた瞬間にその場の空気をきらびやかに照らしていたのを今でも覚えています。
母が20年以上も前に着た振袖を前に、成人式の日を楽しみに待つ姉の姿が当時の私には羨ましく写りました。
姉がその振袖を纏って写真館で撮った写真を祖母に送った際、その喜びようはとても大きいものでした。
祖母だけでなく、母も同じように喜んでいたと思います。

その写真は祖母の宝物になり、今でも大事に家に飾られているとうことですが、
私の番になったら(次女あるあるですが)その感動は大したことないんじゃないかと思うところもありました。
なんとなく気後れする気持ちを残したまま迎えた成人式でしたが、私が同じ振袖を身につけた時も、母も祖母もとても喜んでくれました。

人式の前に、祖母はデザインが今風じゃないから着なくても良いよと言っていましたが、姉が成人式でその振袖を着た時から、
なんとなく私もこの振袖を着るんだろうなと感じていたので、実際にその振袖を身につけた時は私の中でもちょっとした感動がありました。
友達の振袖のように現代風で可愛らしい振袖ではなくても、年代物の振袖は上品さと気品さを兼ね備えており、私の成人式を彩るのにはぴったりでした。
ありきたりなデザインでなかったがゆえに、余計際立ったという点でもよかったと思います。

また一生に一度の晴れ舞台で、レンタル振袖ではなく、我が家の歴史が詰まった振袖があったという幸運な事実に喜びを感じざるを得ませんでした。
その振袖を着る機会を与えてくれた祖母にも母にも今では感謝しています。
そしていつか私か姉に女の子が生まれ、成人式を迎える時にもあの振袖があったら良いなと考えてしまいます。
まだまだ先の未来ですが、その時までに質のいい状態で振袖をとっておけるよう、これから姉と二人で大事にしまっておくのかな、なんて話をしたりしています。